
スノーボードの道具で一番値段が高いのが板です。
決して安くない板ですから、できるだけ長く良い状態で使えるように、きちんとお手入れしておきたいものです。
使ったら使いっぱなしが一番板に良くありません。
板のお手入れはシーズン中とシーズンオフの2種類で「水分と汚れの除去」「滑走面の保護」「適切な保管」の3つが鍵になります。特に金属部分のサビと滑走面(ソール)の劣化を防ぐことが重要です。
より長く使うためにしっかりその方法をマスターして実践してみましょう!
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基本のメンテナンス(滑走後)
滑り終えてすぐにひと手間かけるだけで、板の状態は大きく変わります。ボードケースにタオルを1枚入れておくだけで、片付けにあと3分時間をかけるだけで実践できるメンテナンスなのでマイボード初心者の方もぜひ実践してみてください。
1. 水分と汚れを徹底的に拭き取る
スキー場などで雪を大まかに落とした後、帰宅する前に乾いたタオルや布で板の水分を拭き取ります。特にエッジとビンディング(バインディング)周りを念入りに拭き取ります。これは、金属のエッジやビンディングの隙間に水分が残るとすぐにサビの原因になるからです。しっかりと拭き取れたらケースに入れて持ち帰ります。
2. 完全に乾燥させる
帰宅したらケースから板を取り出し、直射日光の当たらない風通しの良い場所で1〜2日間かけて陰干しで完全に自然乾燥させます。

シーズン中に行うメンテナンス(滑走性維持)
快適な滑りを保つために、定期的なワックスがけが不可欠です。ワックスがけについてはこちらで詳しく案内していますので参考にしてください。
1. 滑走面のクリーニング(リムーバー)
また、滑走面には目に見えない油汚れや古いワックスが溜まっています。新しいワックスの浸透を良くするため、専用のリムーバーを使って汚れをしっかり拭き取ります。
2. ワクシング(ソールの保護)
スノボの滑走性能を維持するためのリペア(手入れ)は非常に重要です。特に滑走面(ソール)の性能を回復させるための手順に触れておきます。
・汚れ落とし(クリーニング)
滑走面(ソール)には、雪や泥だけでなく、滑走中に付着した古いワックスの酸化物、排気ガスなどの油汚れが蓄積しています。これらの汚れが滑走性を低下させます。
そこで、専用のリムーバーをソールに塗布し、汚れを浮かせた後にキッチンペーパーやタオルで拭き取ります。この工程をしっかりと行うことで、後に塗るワックスがソールに深く浸透するようになります。
・サンディング(傷の補修)
ゲレンデに浮き出た石や樹の一部などで滑走面についた深い傷(リペアが必要なレベルの傷)は早めに直しておきたいものです。サンディング(Sanding)とは、小さな傷や毛羽立ちを整える意味合いのほか、深い傷にはガリウムやTOKOが出すリペアキャンドルを溶かし込んで埋める作業も含みます。
リペアキャンドルで傷を埋めた後は、スクレーパーというプラスチックのヘラを使って余分なキャンドルを削り取り、ソールを平滑にします。
・簡易ワックス
毎回滑る前に、スプレーや塗り込むタイプの簡易ワックスを塗布すると滑走性が向上します。(持続性はないので都度塗る必要があります。)
・ベースワックス
アイロンを使うホットワックスでベースワックスを塗布すると、滑走面を深く保護し、板の寿命を延ばす効果が最も高くなります。
3. エッジのサビ落としとサビ止め
エッジにサビを見つけたら、サビ取り消しゴム(エライザー)で軽くこすって落としましょう。サビを落とした後や、次に滑るまでに間が空く場合は、市販のサビ止めを塗布しておくと安心です。
4. 研磨(スクレーピング)
ワックスがソールに浸透し、冷え固まった後に行う作業です。
塗布したワックスのうち、ソール内部に浸透せずに表面に残っている余分なワックスを、スクレーパーを使って削り取る(スクレーピング)作業のことです。この作業でソール表面をフラットに整えることで、雪面との抵抗が減り、滑走性が高まります。削り取るワックスが少なすぎると逆に滑りが悪くなるので注意が必要です。
5. ナイロンブラシ(仕上げ)
研磨(スクレーピング)の後の仕上げの工程です。スクレーパーで削り取った後のソール表面には、細かく残ったワックスのカスがまだ残っています。このカスを、ナイロンブラシを使って掻き出すようにブラッシングします。これにより、ソールが持つ細かな溝の構造(ストラクチャー)をきれいに露出し、滑走面を整えることで、最終的な滑走性を最大限に引き出すことができます。
ここで紹介した手入れ道具は、ムラサキスポーツ、ヒマラヤ、スポーツデポといったスポーツ店やWEB系ショップで購入できます。特にリムーバー、ワックス、アイロンのアイテム3点がセットになった商品などセット価格で出ているものもあります。

シーズンオフの保管メンテナンス
長期間使わないシーズンの終わりには、板を「お休みモード」にするための特別な手入れが必要です。
1. ビンディングを取り外す
長期保管の際は、ビンディングを必ず外します。ネジを締めたままだと板に余計な負荷がかかり、変形(キャンバーのヘタリ)の原因になることがあります。外したビス(ネジ)やビンディングの金属部分には、浸透潤滑剤やグリスを塗ってサビを防ぎましょう。
2. 保存用ホットワックス(剥がさない)
滑走面の汚れをリムーバーで落とした後、ホットワックスを厚めに塗り、剥がさずにそのままにしておきます。このワックスの膜が空気との接触を防ぎ、ソールの乾燥や酸化による劣化(毛羽立ち)を防いでくれます。
3. 保管場所
高温多湿・直射日光は厳禁です。車内や屋外の物置など、夏場に高温になる場所は板の変形や剥離の原因になるため避けてください。屋内の物置や収納での保管がおすすめです。
また、保管の仕方は立てるより横置きが理想です。板の自重による歪みを避けるため、横置きが最も理想的です。難しい場合は、専用ラックなどで板の側面に負荷がかかるように立てて保管しましょう。またボードケースに乾燥剤を入れておくと、湿気によるサビの予防になります。
スノボーウェアについても長持ちさせるための注意点やコツを紹介しておきます。 スノーボードウェアを長持ちさせるには、素材の防水性・透湿性といった機能性をいかに維持するかが重要になります。基本は「シーズンごとの洗濯と撥水加工の回復」です。

日常のお手入れと注意点(滑走後)
ウェアは雪で濡れているだけでなく、汗も吸っています。帰宅後はすぐにケースから出し、風通しの良い日陰で完全に乾かしましょう。濡れたまま放置すると、カビや臭いの原因になります。泥汚れや食べこぼしは、時間が経つと落ちにくくなります。見つけたらすぐに中性洗剤を薄めた液を布に含ませて、叩くようにして拭き取りましょう。泥は乾いた状態で払い落としてから処理するのが基本です。
洗濯や保管の際、マジックテープ(ベルクロ)が開いたままだと、周囲の生地を傷つけたり毛羽立たせたりする原因になるため、必ず閉じましょう。
撥水機能や防水透湿性素材の機能が低下する原因になるため、柔軟剤や漂白剤、蛍光増白剤が含まれた洗剤は絶対に使用しないでください。

正しい洗濯方法(シーズンオフ)
ウェアの機能維持のためには、シーズンに一度(または汚れがひどいとき)は全体を洗いましょう。これは自分での作業が不安な場合、ドライクリーニング+防水加工(オプション)をシーズン終了後にクリーニング店にお願いする事もできます。少し料金はかかりますが確実で安心して次のシーズンを迎えることができます。
自分で洗濯する場合は、洗濯表示を必ず確認し自宅での洗濯が可能かチェックします。色落ちが心配な場合は、目立たない部分に洗剤をつけて試し洗いしましょう。
洗剤は、おしゃれ着用の中性洗剤、または防水ウェア専用洗剤(撥水回復効果があるものもあります)を使用します。
洗い方は、1. ファスナー・ボタンをすべて閉める。 2. ウェアを畳み、洗濯ネットに入れる。 3. 洗濯機の手洗いコース、ドライコースなど弱水流コースを選択し、単独で洗う。脱水は1分程度の短時間に設定しておく。 4. 手洗いする場合、ぬるま湯(30℃以下が目安)に洗剤を溶かし、押し洗いを20回ほど繰り返します。
すすぎは、洗剤成分が残ると機能低下の原因になるため、泡が出なくなるまで丁寧に(通常の衣類よりも多めに)すすぎましょう。
脱水は強く絞らず、大きなタオルやバスタオルでウェアを挟み、軽く叩いて水分を吸い取るようにして脱水します。

撥水機能の回復方法
洗濯や摩擦によって、利用回数や年数に応じて撥水機能が低下することがありますが、撥水性は、熱を加えることで回復する性質を持っています。
熱処理による回復
ウェアが完全に乾いた後、熱を加えて撥水性を回復させます。(※必ず洗濯表示を確認してください)乾燥機を低温に設定し、20~30分ほどかけるのが最もムラなく簡単です。(GORE-TEX製品などは推奨されることが多い)
アイロンはスチームを切り、低温に設定したアイロンに当て布をして、ウェア全体を優しくかけます。部分的にドライヤーを使用する場合、ドライヤーはウェアから10cm以上離し、温風を全体にムラなく当てます。
撥水剤の再加工
熱処理でも撥水性が戻らない場合は、撥水剤を使いましょう。
スプレータイプの撥水剤はウェアの表面に直接スプレーし、しっかり乾燥させます。換気の良い場所で行いましょう。ウォッシュインタイプは、洗濯機やすすぎの際に撥水剤を投入し、乾燥後に熱処理を行います。撥水剤を使用する際は、必ずウェアと撥水剤の説明書に従って行ってください。